政治の本質『三頭の牛とライオン』争いある所に

三頭の牛がいつも並んで草を食んでいた。
ライオンがこれを捕まえてやろうと狙っていたが、三頭一緒では勝ち目がない。
陰険な言葉と讒言で衝突を誘い、仲間割れさせてから、一頭ずつ切り離して、易々と平らげた。
イソップ寓話集(岩波文庫)

”まつりごと”といえば聞こえはいいが、政治の本質は利害関係と分配である。

たとえば、大きい犬と小さい猫が餌の量をめぐって喧嘩になった時、カラスが仲裁するとしよう。

心情的にはか弱い猫にたくさんの餌を与えてやりたいが、主の門の前で毎日警護に務めている犬の働きを思えば、いつもコタツで丸くなってグウグウ寝ているだけの猫にたくさん分け与えていいものか、という疑問が生じる。

そこで、きっちり二等分して、公平な善人カラスと称えられても、決して犬の好意を勝ち取ることはできないだろう。その結果、犬はだらけて、門の警護もやる気がなくなるかもしれない。カラスへの信頼もなくし、その敵意は猫に向けられるだろう。真の公平とは、数値をきっちり二等分することではなく、「必要に応じて」というのが非常に重要なのだ。

そこで、今回の取り分は、こうこう、こういう理由で、「犬=60%、猫=40%」とする。来年、猫に子供が生まれたら、子供の数に応じて、備蓄から少し上乗せしましょう、皆さん、それで納得してくれるかな? と、万人が頷くような理屈で争いを収めるのが有能な政治家で、何でも等分してしまう愛の人や、猫かわいさに言いなりになってしまう人は、現実社会の采配には向かないだろう。

世の中、利口なカラスばかりとは限らない。

あっちにもこっちにも好い顔をしたがる日和見主義もいれば、猫の尊敬を集めて猫神さまになりたがるカラスもいる。

争いの影で餌を掠め取ろうとする者にとって、群れの仲間割れほど都合のいいものはない。

直接手を下さなくても、互いに磨り減り、疲れ果て、いつかは自滅するからだ。

争いは、当事者よりも、それを望む者の手によって拡大する。

新人同士の揉め事にほくそ笑むお局さまみたいなもの。

理解者の振りをして、どちらの言い分にも耳を傾け、影ではあることないこと言い振らして、余計で火種を拡大する災いの魔神みたいな存在だ。

目の前の相手に食ってかかる前に、本当の敵は何かを考えよう。

この争いで一番得するのは誰かを。

どちらが何を勝ち得ても、それ以上の利益を手にするものが、争いの影には居るものだ。

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この記事を書いた人

石田 朋子

文芸愛好家&サブカルチャー・ファン。主に70年代~90年代の作品に思い入れがあります。寺山修司の名言『詩を作るより、田を作れ(揶揄)』をモットーに、好きな作品を次代に伝えることを目標にしています。海外在住につき、現代日本とは相容れない所がありますがご容赦ください。趣味はドライブと登山。