去年の汽車に ことしのおいらが乗るってことはできないだろう

子供
だけど待ってたって永久に汽車にのれないって知らなかったんだ、ねえ張さん、去年の汽車は、今、すぐそこをでも走ってるよ
ちっとも見えないじゃないか
子供
目がわるいからだ。去年の汽車は、こんな夜でもすごい轟音でおれたちの目の前を走っている。ゴオゴオってすごい音をたててね。……ただいくら走っても走っても去年の汽車にことしのおいらが乗るってことはできないだろう。

戯曲 毛皮のマリー・血は立ったまま眠っている (角川文庫)

時は足早に過ぎ去る。

自分は何も変わらないのに、世界の物事は物凄い勢いで傍らを走り去っていく。

過ぎ去ったものに、憧れても、悔やんでも、どうすることもできない。

それを諦念とするか、後悔のままとどめ置くかはその人次第。

ただ一つ、確かなのは、去年の汽車に今年のあなたが乗ることはできない、ということ。

Morgenrood 曙光

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この記事を書いた人

石田 朋子

文芸愛好家&サブカルチャー・ファン。主に70年代~90年代の作品に思い入れがあります。寺山修司の名言『詩を作るより、田を作れ(揶揄)』をモットーに、好きな作品を次代に伝えることを目標にしています。海外在住につき、現代日本とは相容れない所がありますがご容赦ください。趣味はドライブと登山。