それでも、蛍は光を灯しつづける

蛍の光で書物を読むのは、蛍ではなく人間である。

蛍は自分の光で、自分を照らすことなどできないし、その光で自らの道を照らすこともできないであろう。

それでも、蛍は光を灯しつづける。

さかさま博物誌 青蛾館 さかさまシリーズ (角川文庫)

これは自身のことだろう、とつくづく。

世の中には、「役に立つ言葉」や「救いの言葉」があふれている。

でも、それを書いている本人には何の救いもなく、恵みもない。

ただ、ひたすら書き綴る。

本当にそれだけ。

それは文学に限らず、音楽でも、サービス業でも、製造業でも同様。

好きでやってるんじゃないか……という人もあるだろうが、自分も受け手と同じように喜んでやってる人など少数だろう。

以前、有名漫才師だったか、落語家だったか、「喋ってる本人は全然面白くない。なんでこんなにウケるのか、いつも不思議に思いながらやってる」というコメントをされたことがあるが、それはその通りだろう。自分が楽しむのと他人を楽しませるのはまた別だし、趣味の域を通り越せば、ひたすら芸の奉仕者になるのが本当だと思う。

それでも蛍のように光を灯し続ける。

そういう性に生まれついた人を才物と呼び、続けられることを天職というのだろう。

そこに野心も使命感もなく、最後は無色透明なエンティティみたいに無限に何かを作り出せるのが理想ではないだろうか。

QUOTE CARD

  • どんな高邁な理想も、言葉だけでは人は動かせない。 身をもって示して初めて、理想が理想としての意味をもつ。 その後、彼は死ぬまで父を忘れず、その生き様を指針にするわけだが、愛とは何かと問われたら、慈しむだけが全てではない。身をもって生き様を示す勇気も至上のものだろう。 誰でも犠牲は怖い。  自分だけ馬鹿正直をして、損したくない気持ちは皆同じだ。  だが、その結果、一番側で見ている子供はどうなるか、いわずもがなだろう。  言行の伴わない親を持つほど不幸なことはない。  たとえ現世で馬鹿正直と言われても、本物の勇気、本物の優しさ、本物の気高さを間近に見ることができた子供は幸いである。 どんな高邁な理想も、言葉だけでは人は動かせない。 身をもって示して初めて、理想が理想としての意味をもつ。...
  • 「創造的」というのは詩を書いたり、絵を描いたり、という意味ではありません。無の平原から意味のある何かを立ち上げることです。 より良く生きる為に、日々、考えること、実行すること、その全てが『創造』です。 どんなに小さくても、昨日よりは今日、今日よりは明日、少しずつでも歩みを進め、善きものを積み上げることを「創造的な生き方」と言います。 「創造的」というのは詩を書いたり、絵を描いたり、という意味ではありません。無の平原から意味のある何かを立ち上げることです。 より良く生きる為に、日々、考えること、実行すること、その全てが『創造』です。...
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この記事を書いた人

石田 朋子

文芸愛好家&サブカルチャー・ファン。主に70年代~90年代の作品に思い入れがあります。寺山修司の名言『詩を作るより、田を作れ(揶揄)』をモットーに、好きな作品を次代に伝えることを目標にしています。海外在住につき、現代日本とは相容れない所がありますがご容赦ください。
※ 現在、制作巣ごもり中につき、ほとんど更新していません。