ほんとに愛しはじめたときにだけ 淋しさが訪れる『ダイヤモンド』

木という字を一つ書きました

一本じゃかわいそうだから

と思ってもう一本ならべると

林という字になりました

淋しいという字をじっと見ていると

二本の木が

なぜ涙ぐんでいるのか

よくわかる

ほんとに愛しはじめたときにだけ

淋しさが訪れるのです

寺山修司少女詩集 (角川文庫)

多くの場合、『淋しさ』という言葉は、退屈や、無視された怒りや、自我が通らぬもどかしさを表す言葉として使われているように感じる。

何もすることがなくて、淋しい。

誰にも相手にされなくて、淋しい。

分かってもらえなくて、淋しい。

自分が何ものでもないような気がして、淋しい。

それも淋しさに違いないが、愛を知った人の淋しさは、わかり合えない辛さや愛されない空しさとは異なる。

想っても、想っても、二人が永久に一つになることはない。

そんな限界の淋しさだ。

私があなたで、あなたが私なら、もう何も苦しむことなどないのに。

想うほどに、独りを感じて、泣けてくる。

そういう切ない涙の話だと想う。

恋と恋の狭間に
淋しい 

 寺山修司少女詩集 (角川文庫) (文庫)
 著者  寺山 修司
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この記事を書いた人

石田 朋子

文芸愛好家&サブカルチャー・ファン。主に70年代~90年代の作品に思い入れがあります。寺山修司の名言『詩を作るより、田を作れ(揶揄)』をモットーに、好きな作品を次代に伝えることを目標にしています。海外在住につき、現代日本とは相容れない所がありますがご容赦ください。趣味はドライブと登山。