タクシードライバー ロバート・デニーロ

哀愁のジャズとマグナム『タクシードライバー』は何故に名画となりしか

雨は人間のクズどもを歩道から洗い流してくれる。奴らを根こそぎ洗い流す雨はいつ降るんだ? マーチン・スコセッシの歴史的名作を画像と動画で解説。夜の香りが漂うバーナード・ハーマンのJAZZ風サウンドトラックも素晴らしい(Spotifyで試聴可)。You Talkin’ to Me? や Anytime, Anywhere など、有名な台詞も交えながら、世界中のファンを唸らせるロバート・デニーロの魅力を熱く語る映画レビュー。

※この記事は何度にもわたって追記しているので、流れが分かりにくいかもしれません。

おそらく近年の映画ファンの中には、なぜマーチン・スコセッシ監督の『タクシードライバー』が名画と呼ばれるのか、疑問に感じる人も少なくないと思う。

映像は古いし、話は淡々と進むし、登場人物はみな冴えないルーザーか血も涙も無いDQNばかりだし。

『アクション』というカテゴライズに釣られて、トム・クルーズやマット・ディモンが演じるような華麗な銃撃戦を期待すれば、必ず裏切られる。

「タクシー・ドライバーが少女娼婦を救う」という設定だが、マーク・ウォルバーグやジェラール・バトラー風の熱血を期待すれば、これまた裏切られるだろう。

実際、ロバート・デニーロが演じるトラヴィス・ビックルがやっているのは、社会正義でもなければ、人道でもない。行き場のない怒りや苛立ちを、『社会を正す』という得手勝手な理屈に置き換え、勢いのまま銃をぶっ放したに過ぎない。大統領暗殺未遂も、単純に自分が許せないからそうするだけで、政治的主張もなく、計画性もなく、その動機はどこまでも利己的で、短絡的である。

にもかかわらず、ロバート・デニーロの演技はなぜ観る者を引きつけ、永遠のアイコンとなり得たのか。

それはきっと、誰もが一度は経験する孤独と寂寥――大都会の中で、自分だけが切り離されたような虚しさと苛立ちをモノローグで描いているからだろう。

そこには学びも思考もなく、体験だけが語られる。まして自分を疑うこともなければ、真理に目覚めることもない。

ただただ、怒り、突っ走る。

その閉じた内観が、逆に都会人の共感を呼び覚ますのだ。

また、この映画は 『ミッション・インポッシブル』や『ジェイソン・ボーン』のように、展開を追う作品ではなく、一枚一枚の『絵』を味わうものだ。

冒頭、スモークの中から現れる黄色い車体に始まって、フロントガラスに映る雨のニューヨーク、雑踏を一人歩くトラヴィス、掃き溜めに鶴のような白いドレスのベッツィ、など、一つ一つの場面がコラージュのように繋ぎ合わされ、目の前を流れていく。それも単純なムードクリップではなく、構図、小物、演技、台詞、一つ一つが計算され、どこを切り取ってもスチール写真のように完成されている。決して凝った作りではないが、トラヴィスの寝癖と鎮静剤、夜空に流れる青信号、街路にまき散らされる消火栓の水、ポルノショップのポップコーンの紙箱、デスクに広げられた書類や鉛筆、、洗面台の中で炎に包まれる薔薇、ジョディ・フォスターのジェリービーンズのような緑色の眼鏡、どれもが詩的で、叙情に満ちている。どちらかといえば、ドキュメンタリー・タッチで、わくわくするような色使いも仕掛けも無いけれど、実際に都会の片隅で繰り広げられているような映像がかえってトラヴィスの世界観にマッチし――トラヴィスは夢など見ないだろうから――個性を際立たせるのだ。

トラヴィスの行為が良いか悪いかなど、ここで論ずべきではない。

動機や生き様を追求するのも、野暮というものだろう。

トラヴィスは都会を彷徨い歩く、私たちの影だ。

若い時分に一瞬すれ違う、甘い傷みにも似ている。

幸福など、何の意味があるだろう。

今日もろくでなしが目の前を通りすぎるだけなのに。

銃を構えるトラヴィス 反逆と不条理の永遠のアイコン

雨は人間のクズどもを歩道から洗い流してくれる

Anytime, Anywhere

タクシー会社の面接に訪れたトラヴィスが、「夜でも走れるか? 危険な場所でも?」と人事に質問された時、「いつでも、どこでも(Anytime, Anywhere)」と答える、どこか自棄的な物言いが印象的。普通は己が可愛い。いくら金の為とはいえ、物騒な下町を走るのは避けたい。だが、トラヴィスは Anytime, Anywhere と答える。己の人生など、いつ、どうなっても構わないからだ。守るべきものなければ、将来の展望もない。

雨は人間のクズどもを歩道から洗い流してくれる
オレは常勤になった
勤務は夜6時から朝6時 たまに8時まで 週に6日 七日のときもある忙しいとぶっ通しで働く
週休350ドル メーターを切れば、もっとになる

夜の街は 娼婦 ごろつき げい 麻薬売人であふれている
吐き気がする
奴らを根こそぎ洗い流す雨はいつ降るんだ

おきゃくに言われれば オレはどんな所へでもゆく
気にならない 
黒人を乗せない奴もいる オレは平気だ

12時間働いてもまだ眠れない
毎日がすぎていくが終わり無い

『Thank God for the rain to wash the trash off the sidewalk.(雨は人間のクズどもを歩道から洗い流してくれる)』も有名な台詞。
夜の街を横目で見ながら、社会のクズども、と毒づく。
その苛立ちは、自分自身への苛立ちでもある。彼らと同じように、何を生産するでもなく、誰かと分かち合うわけでもない。その日暮らしのゴミみたいな存在で、先には何も無い。それを打ち明けたところで、誰が同情してくれるのだろうか。

オレの人生に必要なのはきっかけだ
自分の殻だけに閉じこもり 一生過ごすのはバカげてる
人並みに生きるべきだ

ひなびたアパートで、ベッドに寝そべりながら、悶々とするトラヴィス。
何かを志そうにも、きっかけもなければ、当てもない。

一人暮らしのトラヴィス 夢も希望も何もない

そんな彼が出会ったのは、選挙事務所に務める『白いドレスのベッツィ』だ。無機質な雑踏で、彼女の歩く姿は天使のように気品に満ちている。
さっそく口説きに出掛け、デートに漕ぎ着ける。ここだけ妙に積極的(^-^)

君は独りぼっちだ。
ここを通る度に見てると 君の周りに人は大勢いて 電話や書類でいっぱいだが何の意味もない
ここに来て 君に会い その目や動作を見ても 君は幸せな人じゃない
君には何かが必要だ 多分それは友達だよ

ところが、初めてのデートで誘ったのはポルノ映画。当然、ベッツィは機嫌を損ね、何度電話しても、無視されるようになる(当たり前ダ)。

再び張り合いをなくし、タクシー仲間に鬱屈とした気持ちを打ち明ける。だが、そこで返ってきたのは、世間並みな回答だった。

トラヴィス 「ここから飛び出して、何かをやりたいと思ってる」
ウィザード 「商売替えか?」
トラヴィス 「でも……よく分からん。飛び出して、何かを……やってみたい。いろんな考えはあるんだが」
ウィザード 「男が仕事を選ぶ。彼はやがて仕事を身につけ、その仕事しか考えない。俺のタクシー家業は17年。10年間夜勤だが、いまだに自分の車がない。 いらないし、買う必要もない。夜勤では他人の車に乗る。人間なんてなるようにしかならんよ。貧しい者、金持ち、弁護士、医者も同じだ。死ぬ奴、病気が治る奴、生まれてくる奴もだ。お前は若い。女を抱き、好きなことをやるんだ。どうせ俺たちは負け犬さ。どうにもならん」

こんな事を言われても、若い魂は納得しないだろう。彼らの前途には、計り知れない時間があり、何かを成す可能性があり、気力も体力も有り余っているのだから。

どうせオレたちは負け犬だ

ある日、トラヴィスは、少女娼婦のアイリス(ジョディ・フォスター)と出会い、薄汚い男たちに利用されている事実を知る。

少女娼婦を演じるジョディ・フォスター

血も涙もないポン引きの”スポーツ”。 まだ十三歳にすぎないアイリスに売春をさせ、売り上げはピンハネ。言葉巧みにアイリスをかどわかし、商売道具として手元に留めようとする。

血も涙もないポン引きのスポーツ

心に何かを感じたトラヴィスは、ベッツィの支持する大統領候補パランティンの暗殺を思い付き、数丁の銃を購入して、トレーニングを始める。

このYou talkin’ to Me ?も非常に有名。全身からにじみ出るような狂気と、袖口から小銃が滑り出す装置が秀逸。

ジョディ・フォスターは、商売の時と平素の時のギャップが印象的。夜の街では、ぴちぴちのホットパンツを履き、髪をカールして、大人の女性のように背伸びしているけれど、素顔はふっくらとあどけない中学生の女の子。世の中のことなど何一つ理解せず、ポン引きの”マシュー”を守護者のように信じ切っている。いつの時代も、こういうケースは後を絶たないのかもしれないが。

これが映画史に残る銃撃シーン。今時のアクション映画に比べたら、地味で、淡々として、「どこが?」と思うかもしれないが、細い廊下をすーっと移動して、問答無用で撃ち抜く場面、一瞬、凍り付くジョディ・フォスターのショット、トラヴィスの顔に飛び散る返り血や、狂ったような男のわめき声が非常にリアルで、一切の慈悲も同情も感じさせない。
確かに「少女娼婦を救う」という大義名分もあるけれど、それなら警察に相談するなり、逃走に手を貸すなりすればいい話。この場に乗り込んで銃をぶっ放すのは、やはり自分がそうしたいからで、このどこか身勝手で、常軌を逸したような行動がこの映画の魅力なんだな。

そして、感動のラスト。新聞でトラヴィスの活躍を知ったベッツィは、自らタクシーに乗り込み、愛の眼差しで見つめるが、トラヴィスはカシャっとメーターを切り、夜の街に走り去っていく。この女に媚びないクールさが万国のトラヴィス・ファンの心を掴んで放さないわけだ。

なにゆえに『タクシードライバー』は名画となりしか

名画といえば、『風と共に去りぬ』のように豪華絢爛な大作であるとか、『スターウォーズ』のように世界中が熱狂するとか、様々な定義があるが、『タクシードライバー』の場合、あまたの名画に当てはまる要素はほとんどない。特に物語に優れるわけでもなければ、美術や演出が突出しているわけでもない。ただもう、淡々と、トラヴィスの一人語りが続くだけで、退屈といえば退屈な映画だ。

にもかかわらず、これが名画として長く支持されるのは、トラヴィスの内面にフォーカスした作りと、ドキュメンタリー・タッチのユニークな映像、ロバート・デニーロの演技とアクション、すべてが空前絶後だからだろう。

たとえば、この映画を見終わった後、政治がどうとか、麻薬、売春がどうとか、論じる気になるだろうか。

トラヴィスの行為は個人的にはOKでも、社会的、人道的にはどうよ、と、追求する気になるだろうか。

これがベトナム帰還兵の心の傷――などと主題に立てるのも筋違いのような気がする。

『タクシードライバー』は、ひたすら心象と情景を現した映画で、道義や生き様とはまったく無縁な物語だ。

むしろ、裁きもせず、訴えもせず、淡々と内面を独白するからこそ、愛すべきルーザーとしてのトラヴィスが胸に迫る。

こんな風に感覚に訴える映画はそうないし、最初から大衆受けなど度外視して、とことん作品性に拘ったものも珍しい。

Amazonのレビューで誰かが書いていたけれど、「マーティン・スコセッシ監督は、これ一作で世に出て、これ一作で終わった」というのも、決して言い過ぎではない。もちろん、21世紀に至るまで、『アビエイター』『ギャング・オブ・ニューヨーク』『ディパーテッド』『シャッター アイランド』など話題作を次々に送り出し(それもレオナルド・ディカプリオと組んで。ちとミスマッチではないかと思うが)、遠藤周作の原作に基づいた『沈黙』も大変な力作だったが、それでも『タクシードライバー』の存在感に比べたら、『傑作』の域を出ない。その点、『タクシードライバー』は、世の評価も名声も突き抜けて、これだけが燦然と映像神の栄光に輝いているような印象がある。それほどに異色で、奇跡のような作品だ。

もう二度とこのような作品は出てこないし、演じる役者もないだろう。

You Talkin’ to Me ? と、トラヴィスが問いかける時、私も Yes, I’m talking to you と答える。

だって、あなたは、青春の影。

あなたにしか分からない心の痛みがあるから。

私の好きな名場面集

ベッツィとの初めての出会い。白いドレス姿に、They can not touch her という日記の文字がかぶる演出が秀逸。

白いドレスのベッツィ

ポン引きのマシューから逃れようとしたアイリスが、偶然乗り込んだのがトラヴィスのタクシーだった。結局、アイリスは連れ戻され、マシューは迷惑料として運転席にくしゃくしゃの20ドルを投げ入れる。この20ドルがトラヴィスにとって一つのきっかけとなる。少女売春と麻薬で手にした、汚れた紙幣だ。
一方、この皺だらけの紙幣は、この社会における底辺の価値にも感じる。
アイリスもそうだが、ダウンタウンでタクシーを走らせるトラヴィスも、夢も希望もない下層の人間だ。
上から見れば、しわしわの20ドル紙幣ほどの価値しかない。
同じ人間なのに。

トラヴィスの中で目を醒ましたのは、正義感か、人間愛か。
多分、どれとも違う。
あえて言うなら、この世の不公平や不条理に対する怒り。
彼自身が、「洗い流す雨」になった瞬間。

ポン引きが投げつける、皺だらけの20ドル

武器商人の顔色の悪いのが、またいい。いかにもジャンキーという感じで。

顔色の悪い武器商人

いまだに世界中で真似されるトラヴィスのモヒカン。怒りと反逆のアイコンでもある。
この場面、カメラがすーっと下半身から写して、上半身に切り替わった瞬間、「なんじゃ、こりゃ??」でモヒカン頭が目に入る演出がいいんですね。

有名なトラヴィスのモヒカン

大統領候補の演説を遠くで聞きながら、にーっと笑う演技も印象的。
これに触発されて、実際に大統領暗殺事件が起きたのも分かるような気がします。(レーガン襲撃事件)

モヒカンの笑い

これに勝る別れの場面はないと思う。
一度は心惹かれたベッツィだが、今さら愛の眼差しで見つめられても、何の感慨もない。
「じゃ」とあっさり去って行く、この振り方が最高に素敵です。

アイリスの救出を知って、トラヴィスを見直すベッツィ

愛の眼差しで見つめるが、トラヴィスは何の関心も示さない

映画史に残るトラヴィスとベッツィの別れの場面

2010年の映画レビュー

マーチン・スコセッシ監督というと、「ギャング・オブ・ニューヨーク」や「アビエーター」を連想する人が大半かもしれませんが、彼の真の代表作は、ロバート・デニーロ主演の『タクシ・ドライバー』だと思います。

私から見れば、スコセッシ監督は、これ一作で世に出て、これ一作で燃え尽きたという感があり、どこをどうあがいても『タクシー・ドライバー』を超える傑作は生まれそうにない──という気がするのですが、どうでしょう?

それくらい、この映画と主演したロバート・デニーロ……というより、主人公の『トラヴィス・ビックル』は、映画史に残る、強烈なインパクトを持ったキャラクターなのです。

これは若きロバート・デニーロの出世作にして、天才ジョディ・フォスターの名を世に知らしめた異色の名作なんですね。

こんなこと言ったらファンに怒られるかもしれないけど、『タクシー・ドライバー』を見ずして、「ロバート・デニーロがいい」とか、「ジョディは演技派だ」なんて言わないで欲しい。

それくらい傑出した、現代映画を代表する作品なのです。

作品の魅力

『タクシー・ドライバー』は、それまでの映画に無かったドキュメンタリー・タッチを取り入れ、独自のリアリティを生み出しました。

大統領選挙を通して世相を皮肉り、血まみれのバイオレンスを描きながらも、行き場のない若い魂の苦悩や葛藤を描いたこの作品は、観客のみならず世界中のクリエーターを刺激し、今なお、似たようなショットが撮られたり、パロディ化されたりして、不滅の輝きを誇っています。

一方、元アメリカ大統領(ロナルド・レーガン)狙撃事件において、犯人の男に「ジョディの為にやった」と言わしめた問題作でもあり、同世代の若者に与えた影響の大きさは測りしれません。

私が『タクシー・ドライバー』を知ったのは、バーナード・ハーマンによるテーマ曲がきっかけでした。
都会の孤独を映し出したようなサックスのソロが素晴らしく、夜に一人で聞いては、トラヴィスの内面に思いを馳せたものです。(生まれて初めて買ったCDがこの映画のサウンドトラック盤でした)

ベトナム帰りの若い兵士で、不眠と頭痛に悩まされるタクシー・ドライバーのトラヴィスは、大統領選の運動員である白いドレスを着たベッツィに一目惚れします。
しかし、初めてのデートで彼女をポルノ映画に誘って嫌われ、トラヴィスの心はますます孤独と迷いの中に落ちていきます。

そんな時、トラヴィスは、混沌とする夜の街で少女娼婦アイリス(ジョディ・フォスター)に出会います。
まだあどけない少女を言葉巧みに操り、客を取らせては稼ぎをピンハネする麻薬売人スポートに憎悪を抱いたトラヴィスは、ついに銃を手に取り、「腐敗しきったこの街をオレが浄化してやる」と、麻薬と売春の巣に乗り込みます。

激しい銃撃戦の末、アイリスを救い出し、一躍、ヒーローとなったトラヴィスの前に再びベッツィが現れますが、トラヴィスはもう二度と彼女に関心を示すことはなく、夜の街へと去っていくのでした……。

YouTubeで見る名場面

拳をガスコンロにかざして、腕の筋肉を鍛えるシーンや、ジャケットの袖の中に小銃を仕込むシーン。
モヒカン刈りにサングラスという出で立ちで(これはいろんな人が真似してます)、大統領候補の暗殺を試みるシーンや、一人で敵を想定して射撃の練習をするシーンなど、今に語り継がれる名場面も多く、思い詰めたような眼差しの奥に、不可解な狂気をはらんだロバート・デニーロの演技はまさに白眉のもの。

また、当時13歳とは思えないジョディ・フォスターのシャープな魅力や、『ゴッドファーザー』ではクールなコンシリオーリ(顧問弁護士)を演じていたハーベイ・カイテルが、ここでは薄汚いポン引きになりきっているなど、脇の固めも申し分なく、「よくこんな奇跡的な作品が出来たなあ」と感嘆せずにいません。

夜の都会を映し出すサウンドトラック

映画『タクシー・ドライバー』の第二の魅力は、何と言ってもバーナード・ハーマンの音楽でしょう。

トラヴィス・ビックルの魂の彷徨を物語るような美しいサックスや、夜の都会を映し出す哀愁の旋律。
白いドレスを翻して颯爽と歩くベッツィのテーマなど、サウンドトラックだけでも十分にタクシードライバーの世界が堪能できます。

映画の中では一瞬しか流れませんが、非常に印象的な『白いドレスのベッツィ』。

オーケストラバージョンのテーマ曲。トニー・スコットの都会的なサックスが美しいオケにマッチ。何度聞いても泣かせる名曲。

Jazzyなメロディが素晴らしい。『I work the whole city』
途中で入るサックスのソロと、裏打ちの入るスネアドラムが泣かせる。(このリズムを刻むのはかなり難しいと思う)

こちらは少しポップなリミックス。カフェテリア風のアレンジも味わい深く。

DVDとCD

興味がなくても、一度は見るべき映画。Amazonでも配信しているので、機会があればぜひ。
Amazon プライムビデオはこちら

私もブルーレイで買いました。日本語吹き替え版も収録されて二度美味しいDVDです。映像も綺麗ですよ。

トラビス 宮内敦士
ベツィ 井上喜美子
アイリス 木下彩華

タクシードライバー [Blu-ray]
出演者  ロバート・デ・ニーロ, ジョディ・フォスター, ハーベイ・カイテル
監督  マーティン・スコセッシ
定価  ¥ 1,150
中古 28点 & 新品  ¥ 875 から
5つ星のうち 4.2 (287 件のカスタマーレビュー)

上記にも書いていますが、私が生まれて初めて買ったCDがこのサントラ盤です。
魂の震えるようなトニー・スコットのサックスに痺れること数十年。
今もその魅力は色褪せることがありません。
音楽だけで酔いしれる、名盤中の名盤です。

おすすめは、

14.タクシー・ドライバーのテーマ
15.アイ・ワーク・ザ・ホール・シティ
16.白いドレスのベッツィー
17.人生は淋しく
18.タクシー・ドライバーのテーマ

「タクシー・ドライバー」オリジナル・サウンドトラック
by バーナード・ハーマン, トム・スコット (CD)
定価  ¥ 972
中古 10点 & 新品  ¥ 972 から
5つ星のうち 3.4  (10 件のカスタマーレビュー)

「タクシーは動く密室で、孤独のメタファーである」と原作者のP.シュレイダーが語っている。
苦しいほどにその通りである。大勢の人たちの中をかき分け走る。
しかし彼らと直接ふれあうことはない。乗客として室内に迎え入れても決して人間関係ができる訳でもない。限りなき断絶。人混みの中の孤独。他人をただガラス越し(室内では鏡越し)に「眺める」ことしかできない。
そして私も、たった1人、他の車もまばらな夜の道をこのCDを聴きながら運転するのだった。
甘いバーナード・ハーマンの旋律が少しは救いだ。映画もこの美しい音楽によって、そのおぞましい孤独世界が救われていた(トラヴィスを救ったのはベッツィでもアイリスでもなかったのだ!)。
映画音楽の力。
キャリアの最後に見せたバーナード・ハーマンのグレート・ワーク。

*

この映画をしびれるほどに好いている人は多いと思う。
ビデオショップでこの傑作をレンタルすれば、映画館の暗闇でポルノを眺めたり、部屋の中で白黒のブラウン管を見つめていたトラヴィスに心情一致することはできるかもしれない。
でもやはり汚れたN.Y.の裏街道を流しているトラヴィスの気分に浸りたいのだ。
それにはやはりこのサウンドトラックをかけて夜をドライブすることに尽きる。
そしてあなたもまたタクシードライバーなのだ。
〈追伸〉映画にも採録されなかった曲が幾つかあって絶対に「買い」です。
それにしてもこれほどまでにB.ハーマンのテーマソングは偉大だったのか、と改めて感じ入ります。
サントラは映画本編とは別個の魅力があるのですが、このCDは凄みさえ感じます。
ただし孤独は必ずしも悪いものではありませんが、あまりにはまってしまうと危険です。
この映画、そしてサントラにそんな麻薬的側面があることには気をつけて
Amazonレビューより

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