『オレが死んだら、80年代に灰を撒いてくれ』デイヴィッド・リー・ロス

80年代の面白さって、当時を実際に経験した人でないと分からないでしょうね。

私も、世の中全体のバブリーな風潮はあまり好きでなかったけど(とりわけ恋愛に関しては)、音楽、映画、漫画、小説、舞台、TVコマーシャルから「2時のワイドショー=辻本源治郎センセイの心霊写真特集」に至るまで、カルチャーの部分は最高に楽しかったです(和洋問わず)。

それを言うと、「若い時代の思い出だから」という人もありますが、70年代初めからオタクな世界にどっぷり浸かってきた私としては、やはり70年代後半から80年代にかけてのカルチャー百花繚乱の時代は、パワーも才能も、今とは圧倒的に異なるように感じます。

洋楽に関しては、ビートルズ、ローリング・ストーンズ、クイーン、KISSあたりが70年代に蒔いた種を、80年代に入って、その弟分が一気に花咲かせた感じ。

経済に勢いがあったから・・というよりは、みなが創ることに貪欲でした。

とにかく良質で、面白いものを創ろう。

ファンがあっと腰を抜かすような、新しいものを見せよう。

そのモチベーションが今とは全然違ってたし、またそれが自由に受け入れられる時代だったとも思います。

誰かがうっかりしたことを口にしても、ネットで一斉に叩いたり、作品を揶揄したりせず、「それはそれ、これはこれ」で、いちいち人の言動や振る舞いに神経質にならなかったしね。

全体に見て、すでに「新しいもの」は出尽くして、そこから脱却しようと試行錯誤してるのが現在かな、という気がしないでもないです。

最近は、何を見ても過去の作品の焼き直しだし、新しい作風に挑戦しようとしているのだけども、どこか遠慮し、腰が引け、考えすぎているような印象もある。

あまりに計算が細かくなり過ぎて、その分、大胆に造形できなくなった部分もあるかもしれない。

常に既視感を覚えるのも(音楽にしても)、「現代のアーティストに才能がない」というよりは、今までに全部出尽くして、受け取る側の目も耳も肥えてしまっている・・というのが大きいでしょう。(騙されるのは、そこまで至ってない若い世代だけ)

でも、何か新しいものに挑戦したくても、どこの世界も「無料文化」が完全に根付いてしまった今、歩みが鈍ってしまう作り手の立場も分かります。

また、反面、音楽でも映像でも、誰もが気軽に発信できるようになったメリットもありますし、今は本当に過渡期ですよね。

この先、どこに着陸するのか。

ただ一つ、はっきりしてるのは、今後十年もハリウッドのリメイクブームは続くであろう、ということ。

『マッドマックス 怒りのデスロード』のように、看板役者を挿げ替えて、リライト的に作品の手足を伸ばしていくやり方です。

*

そんな中、Spotifyの「ジャンル」に、『sprinkle my ashes over the 80’s』というプレイリストを見つけました。

なんのこっちゃと思ったら、ヴァン・ヘイレンのデイヴィッド・リー・ロスの言葉なんですね。

オレが死んだら、80年代に灰を撒いてくれ

When I die, sprinkle my ashes over the 80’s

When I die, sprinkle my ashes over the 80's. - David Lee Roth

どういう流れでこの発言が出たのか、詳しいことは分かりませんが、Spotifyにも出てくるということは、音楽ファンの間では有名な言葉なのでしょう。

でも、気持ちは分かるな。

どうせなら、私も一緒に撒かせてくんない?

君と一緒に灰になれるなら、いつ死んでもエエわ。

どうせ、この先、生きてたって、『Hot for Teacher』に勝るほどパンチのある曲に出会うこともなかろうし。

あの世でフレディ・マーキュリーやスティングのライブが聴けるなら、喜んでそっちに行く♥ (スティングはまだ死んでないけど)

ある意味、「70~80年代カルチャー最高」と思ってると、未来に何の未練もなくていいですよね。

少なくとも、私が生きてるうちは、寺山修司、竹宮恵子、山岸涼子、レッド・ツェッペリン、ポリス、、、他にも書き切れないぐらいあるけど、あれを超えるものは出てこないだろうから。

んー、でも、この先、また目からウロコな人が出てきて、自分がいよいよ息を引き取る時に新作とか発表されたら、それこそ死んでも死に切れんかもさ(笑)

ともあれ。

君に出会えて、よかったわ。

デイヴィッド・リー・ロスに限らず、本当にいい音楽を聴き、漫画を読み、小説を読み、舞台や映画を目にし、好きな絵に海を越えてわざわざ会いに行き・・

この世に生まれて本当に甲斐あった、と思えるような、思い出しかない。

だから、一緒に80年代に灰を撒いて。

David Lee Ross & Marie

なんちゃって。

*

ちなみにSpotifyのリストに収録されているのは、Just A Gigolo

これも、洋楽ファンなら一度は耳にしたことがある大ヒット曲。脳天気なメロディが妙に心に残ります。

そんでもって、私のお気に入り。

上記のHot for Teacher をはじめ、Jump、Panamaなど、名曲揃いです。

1984 <2015リマスター・エディション>
by (CD)
定価  ¥ 9,980
中古 8点 & 新品  ¥ 2,126 から
5つ星のうち 4.5  (144 件のカスタマーレビュー)

日本で再生できるか分からないけど・・

QUOTE CARD

  • どんな高邁な理想も、言葉だけでは人は動かせない。 身をもって示して初めて、理想が理想としての意味をもつ。 その後、彼は死ぬまで父を忘れず、その生き様を指針にするわけだが、愛とは何かと問われたら、慈しむだけが全てではない。身をもって生き様を示す勇気も至上のものだろう。 誰でも犠牲は怖い。  自分だけ馬鹿正直をして、損したくない気持ちは皆同じだ。  だが、その結果、一番側で見ている子供はどうなるか、いわずもがなだろう。  言行の伴わない親を持つほど不幸なことはない。  たとえ現世で馬鹿正直と言われても、本物の勇気、本物の優しさ、本物の気高さを間近に見ることができた子供は幸いである。 どんな高邁な理想も、言葉だけでは人は動かせない。 身をもって示して初めて、理想が理想としての意味をもつ。...
  • 「創造的」というのは詩を書いたり、絵を描いたり、という意味ではありません。無の平原から意味のある何かを立ち上げることです。 より良く生きる為に、日々、考えること、実行すること、その全てが『創造』です。 どんなに小さくても、昨日よりは今日、今日よりは明日、少しずつでも歩みを進め、善きものを積み上げることを「創造的な生き方」と言います。 「創造的」というのは詩を書いたり、絵を描いたり、という意味ではありません。無の平原から意味のある何かを立ち上げることです。 より良く生きる為に、日々、考えること、実行すること、その全てが『創造』です。...
Morgenrood 曙光

Kindle Unlimited

宇宙文明の根幹を成すレアメタルをめぐる企業の攻防と人間の生き様を描いた本格的な海洋ロマン。専門用語は使わず、予備知識のない人でも分かりやすい内容に仕上がっています。無料PDFも配布中。Kindle Unlimited 読み放題の分冊もリリース。

この記事を書いた人

石田 朋子

文芸愛好家&サブカルチャー・ファン。主に70年代~90年代の作品に思い入れがあります。寺山修司の名言『詩を作るより、田を作れ(揶揄)』をモットーに、好きな作品を次代に伝えることを目標にしています。海外在住につき、現代日本とは相容れない所がありますがご容赦ください。
※ 現在、制作巣ごもり中につき、ほとんど更新していません。