二度敗れた人に忠告する。三度目に火を求めぬように。『虱と農夫』イソップ寓話集

農夫が畠を耕していると、虱がこっそり咬みついた。
二度までは耕作を止めてシャツの掃除をしたが、またも咬まれるので、再々仕事の手を止めなくてもよいように、シャツを火にくべた。
私も二度敗れた人に忠告する。三度目に火を求めぬように、と。

イソップ寓話集(岩波文庫)

一般に、成功するまで頑張るチャレンジ精神は美徳とされるけれども、一方で、引き際を見極める知恵と潔さも必要で、盲目的に追い求めれば、最後には己の執心で身を滅ぼす、という喩え。

難しいのは、成功することより、「ここまで」とラインを引くことで、もう少し頑張れば成功を掴める……というぐらいのポジションが、一番危ない。

それでもしぶとく頑張るか、三度目の火は求めぬと潔く撤退するか、それこそ人それぞれだけど、本当に痛いのは、失敗することか、悔いを残すことか、どちらか自分に問いかけてみるといい。

悔いこそ恐れるならば、我が身を滅ぼす覚悟でやればいいし、失敗が怖いなら、そこまで目指すのは止めればいい。

いずれにせよ、その引き際は誰にも教えてもらえないので、自分で決断するしかない。

が、あえて言うなら、もうさんざんに痛い目に遭っているなら、三度目の火は求めぬ方が利口だし、二度頑張って達成できないものは、三度目も同じ結果だと思う。

もし、三度目が上手く行くとするなら、それは今までとは全く異なる方策をとった時だ。

同じ角度、同じ場所を狙い続けても、農夫に潰されるだけで、決して上手く行くことはない。

あるいは、成功というのは、能力の問題ではなく、タイミングと方法が決めるのではないだろうか。

イソップ寓話集 (岩波文庫) (文庫)
by イソップ

Price: ¥ 1,102
51 used & new available from ¥ 108
5つ星のうち 4.3 (23 customer reviews)

Morgenrood 曙光

Kindleストア

宇宙文明の根幹を成すレアメタルをめぐる企業の攻防と人間の生き様を描いた本格的な海洋ロマン。専門用語は使わず、予備知識のない人でも分かりやすい内容に仕上がっています。無料PDFも配布中。

この記事を書いた人

石田 朋子

文芸愛好家&サブカルチャー・ファン。主に70年代~90年代の作品に思い入れがあります。寺山修司の名言『詩を作るより、田を作れ(揶揄)』をモットーに、好きな作品を次代に伝えることを目標にしています。海外在住につき、現代日本とは相容れない所がありますがご容赦ください。趣味はドライブと登山。