ハーブ・アルパート『ルート101』 地図もなく、目的もなく、若さの逃避行

若い人の車離れと言われていますが、ただ単に「お金がない」「余裕がない」「出歩く気にもなれない」というだけで、手取り30万、賞与(年)5.5ヶ月もあれば、みな「買ってみようかな」と思うんじゃないでしょうかね。

だって、ドライブ、楽しいモン。

近畿圏の場合、ドライブするなら、越前海岸がおすすめです。

私も昔、遠景に見とれて、0コンマ0000秒の差で、ガードレールにぶつかりかけた事があります。

あのまま海の藻屑と消えていたら、少なくともうちの子はこの世になかったわけですな。

そうしたドライブ族には、ドライブ族御用達の音楽がございまして、邦楽であれば、サザンオールスターズ、ユーミン、さらにコアなところで杉山清孝&オメガトライブ、TUBE(ユーチューブではない)、あたりなんでしょうかね。

お出かけ前にはドライブ用のカセットテープをせっせと編集する。

A面はこの曲で始まって、30分後、高速に入る頃には、この曲がかかる、と。

すべてストーリーがあるのですよ。

ある意味、ドライブというのは、究極の自分の世界かと思います。

外国人に「車中土禁」の話をすると、大爆笑ですが、愛車を土足厳禁にする人の気持ち、すごく分かります。

ところで、これもまたまた昔の話ですが、日本にもイージーリスニング・ブームというのがありました。

喫茶店やレストランに行くと、ポール・モーリア・グランドオーケストラの「エーゲ海の真珠」とか、フランシス・レイの「白い恋人たち」みたいなムード音楽がしっぽりした雰囲気でかかっていて、その頃の大人のカップルは「いちゃつく」というより「恋を楽しむ」という感じだった記憶がございます。

そのせいか、インストゥルメンタルの楽曲も、しょっちゅう洋楽ベストテンに入ってました。

クイーンやロッド・スチュワートやダイアナ・ロスあたりに混じって、なぜかポール・モーリア! なぜかコパカバーナ! の乗りです(コパカバーナは歌入りですがね)

わけても好きだったのが、ハーブ・アルパート。『RISE(ハーブ・アルパートとオールナイト・ニッポンの熱い関係を参照のこと)』も名曲ですが、『ルート101』もこれに負けず劣らず美しくてポップな曲です。

ドライブに超絶お勧め。


ドライブの良い点は、多くの場合「目的地」があることです。

でも、決まったルートを走っても、渋滞に巻き込まれることもあれば、まさかの道路工事で迂回を迫られることもある。

田舎のプレスリーに追い抜かれることもあれば、完全に物理の法則を無視してアクセル踏んでるだけの飛ばし屋に遭遇することもある。

そうかと思えば、いかついトラックのおっちゃんに親切に道を譲ってもらったり、ガソリンスタンドのお兄ちゃんに優しくしてもらったり。

「この人、めちゃくちゃ上手い!」と、さりげに横に並んで運転席を見たら、もう何年も前にリタイアされたようなおじいちゃんだったり。(たまに神業みたいに安定し、かつスピードダッシュのできる走りをする人がおるからね)

楽しいこともある。

「人生って、ドライブみたい♪」なんて、くさいことは言いません。(言いたいけど)

でも、「自分を見失わずに走る」(渋滞にもまれようと、嫌がらせみたいな追い抜きをされようと)という点では、ドライブはいろんな事を教えてくれます。

道に迷ったり、ルート変更したり、思いがけないトラブルをいかに切り抜け、安全かつ速やかに目的地に辿り着くかという、柔軟性や忍耐力を試されるスポーツでもありますわな。

一方で、地図ももたず、目的ももたず、若さの逃避行みたいに、思いっきり遠くまで走りたくなることもある。

私が越前海岸のガードレールにぶつかりかけたのも、そんな時でございます。

あの時、ガードレールからジャンプアウトしていたら、何もかも変わっていたのでしょう。

にもかかわらず、今もしぶとく生きている。

死ぬー! 死んでやるー! と呻きながら、まだ生きてる。

人間って、一寸先は闇、二寸先は光なのかもしれません。

ともあれ、ハーブ・アルパートの『ルート101』は、今も世界のどこかのドライブ野郎のカーステレオで爽やかに鳴り響いています。

ハーブのトランペットの音色は、まるで黄金のシャワーのように心を高揚し、まだ見ぬ何処か、遠い何処かへ、ドライブ野郎を誘ってくれるのです。

Definitive Hits
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5つ星のうち 4.0  (23 件のカスタマーレビュー)

In an era when elaborate wordplay and adventurous production were the order of the day, Herb Alpert made an impact barely uttering a word or breaking a mold, other than expanding the commercial parameters for pop instrumentalists. Dashing trumpeter Alpert and his Tijuana Brass scored five top-20 hits between 1962 (when "The Lonely Bull" climbed to No. 11 in the U.S.) and 1968 (when the vocal-driven "This Guy's in Love with You" cracked the top 10), racking up five No. 1 albums over the same period. The group's patented "Ameriachi" sound made up in south-of-the-border sprightliness what it lacked in innovation; the likes of "Spanish Flea" and "Casino Royale" possessed the kind of unshakable hooks that fit perfectly on top-40 radio sandwiched between Nancy Sinatra and the Mamas & the Papas. This 20-track overview serves up 13 selections from the Tijuana Brass's heyday and is rounded up with seven Alpert solo selections, including comeback hits from 1979 ("Rise") and '87 ("Diamonds"). --Steven Stolder

ちなみに『ビヨンド』もええ曲でんな。むかーし、サントリーかニッカのウイスキーのCMソングに使われてました。


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この記事を書いた人

石田 朋子

文芸愛好家&サブカルチャー・ファン。主に70年代~90年代の作品に思い入れがあります。寺山修司の名言『詩を作るより、田を作れ(揶揄)』をモットーに、好きな作品を次代に伝えることを目標にしています。海外在住につき、現代日本とは相容れない所がありますがご容赦ください。
※ 現在、制作巣ごもり中につき、ほとんど更新していません。