人は二度生まれる。一度目は存在する為に。二度目は生きる為に。

『人は二度生まれる。
一度目は、存在する為に。
二度目は、生きる為に」 (ジャン・ジャック・ルソーの言葉)
“その日”まで、俺は小さな殻の中の住人だった。
世界は既に存在していたけれど、まだ俺のものではなく、そこに含まれる様々な事象も、遠い影でしかなかった。

「生きること」への希求と、「自分であること」への渇望。
「自由」への憧れと、「未知なるもの」への不安。
世界はすぐそこにあるのに!
硬い殻が俺と世界とを阻んでいた。

ただ存在するだけなら、死んでいるのも同じこと。
無為に時を過ごすぐらいなら、いっそ時を飛び越えた方がましだ。
時は欲求だけをつのらせ、未知なるものへと心をいっそう掻き立てる。
気の滅入るような息苦しさの中で、俺はずっともがき続けた。心満たす「何か」を必死に探しながら。

「何か」。
自分だけに与えられた「何か」。
それ無しには生きることも、存在することもできない、自分が自分である為の「何か」。
そんな何かに巡り会えたら、今すぐにもその一点に流れ出せるのに!

俺は必死に殻を叩き続け、ついに殻の“外”へと飛び出した。
自分だけを道連れに。
その瞬間の眩しさを、俺は生涯忘れない。
本当の意味で生き始めた、あの劇的な瞬間を。
見るもの、触れるもの、すべてが新しく、日々生まれ変わるような鮮烈な感動を。
世界は決して優しい場所ではないけれど、真摯に生きる者には必ず報いてくれるものだ。

自分を変える「何か」も、心から探し求めれば、いつか必ず巡り合える。
生は一瞬。そして世界は計り知れぬほど深く、広い。
同じ生きるなら、自ら立ち、自ら歩いて世界を渡ろう。
たとえ片翼の鳥になっても。
三番街にピアノが鳴ったら

子供は、親を一人の人間として理解し、受け入れた時、初めて「大人」になる。

初稿:1998年

Morgenrood 曙光

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この記事を書いた人

石田 朋子

文芸愛好家&サブカルチャー・ファン。主に70年代~90年代の作品に思い入れがあります。寺山修司の名言『詩を作るより、田を作れ(揶揄)』をモットーに、好きな作品を次代に伝えることを目標にしています。海外在住につき、現代日本とは相容れない所がありますがご容赦ください。趣味はドライブと登山。