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文芸・評論

疎外する家族と厄介者の息子 グレーゴル・ザムザは本当に虫になったのか フランツ・カフカの傑作『変身』

ある朝、グレーゴル・ザムザがなにか気がかりな夢から目をさますと、自分が寝床の中で一匹の巨大な虫に変わっているのを発見した。有名な書き出しから始まる奇怪な物語は家族に疎外されながら淡々と進んでいく。ニヒリズムを超えた写実的小説の傑作として語り継がれる本作は救いもなければ慈愛もない、人間のリアルを映し出す万華鏡のような作品でもある。

イソップ寓話『狐と鶴』文化の違いと日本のお・も・て・なし

イソップ寓話集の『狐と鶴』といえば、「他人に意地悪をした者は、同じように意地悪をされる」という寓意で知られているけども、全文読めば、決してそれが主旨でないことが解る。 狐が油をたっぷり使った豆スープを平べったい石の皿に入れて、鶴を招待したが、鶴はご馳走になるどころか笑いものにされた。豆スープは液体で […]

「独身のほうがいいとおっしゃる方は、なかなか考えを変えてくださらないし」

さて、この台詞は、誰の作品でしょうか。 正解は、ゲーテの『ファウスト』(悲劇第一部 (中公文庫) )です。 翻訳は、今や絶版となってしまった手塚富雄・訳。(参照→文学への愛は時代を超える 手塚富雄のあとがきより 上記だけ見たら、ほとんど現代小説か、どこぞのライフハック系の小説仕立てという印象。 ちな […]

知見は時に絶望しかもたらさない フランツ・カフカの『ロビンソン・クルーソー』

幸せに生きるコツ――なりふり構わず ロビンソン・クルーソーが島のもっとも高い一点、より正確には、もっとも見晴らしのきく一点にとどまりつづけていたとしたら―― 慰めから、恐怖から、無知から、憧れから、その理由はともかくも――そのとき彼はいち早く、くたばっていただろう。 ロビンソン・クルーソーは沖合を通 […]

アイデアの原点は情報収集、体験、生きる姿勢 安藤忠雄の『連戦連敗』より

第4講「昨日を超えて、なお」から気に入った箇所を抜粋。机上のスタディだけでなく、現場を自身の目で見て、体験して、デザインを構築する重要性を説いている。また外国で仕事をする際の心構えや情報化時代の取捨選択、長いスパンに耐え抜く耐久力など、建築学生のみならず、芸術を志すすべての若者に捧げるメッセージ。

生かす創造 壊す創造 環境と建築 安藤忠雄の『連戦連敗』より

何でも「作ればいい」というものではないと思う。 創造というのは、その名の通り、自分も生かし、周りも生かすことだから、その創作物の為に周りが不幸になったり、百年先まで祟られるなら、それは創造ではなく、破壊だろう。 日本では一口に『つくる』というけれど、英語には、make、create、produce、 […]

公共の芸術としての建築と住民の人間形成 安藤忠雄の『連戦連敗』より

小綺麗な住宅街に行くと、住人もまた洒脱として、上品な暮らしをしていることが多い。 逆に、雑多な町では人の動きも忙しなく、賑やかな反面、不穏なところも少なくない。 瀟洒な町に暮らすから住人も洒脱とするのか、洒脱とした人が集まるから町並みも瀟洒になるのか、因果は分からない。 多分、どちらも本当。 『割れ […]

>海洋小説『曙光』MORGENROOD

海洋小説『曙光』MORGENROOD

ニムロディウムという架空の金属元素を中心に、鉱業、海底鉱物資源、深海調査、海洋情報ネットワーク、建築&デザインなどをテーマに描く人間ドラマ。水深3000メートルに眠るニムロディウムの採掘は世界を変えるのか。生の哲学を中心に海洋社会に生きる人々の願いと攻防を描きます。Google Driveにて無料サンプルPDFも配布中。

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