CATEGORY 文学・神話・絵画

古今東西の名作からマイナーな小品まで、お気に入りの詩や小説、ギリシャ神話、キリスト教について紹介。

この世は辛い事ばかりだから、私なら最初から産まないわ ~ミケランジェロの『ピエタ』より~

何てことかしらね。イエスは人類の罪をあがなう為に命をかけたのに、人はいまだに愚かで、地上には悪がはびこっている。いったい、この悲劇に救いはあるのかしら? それでもこの世に生きる価値があるとでも? こんな世の中、生まれてきても辛い事ばかりだから、私なら最初なら産まないわ。たとえ天から偉大な使命を授かったとしても、私なら絶対に産んだりしない。

涙 ~いつの頃からか 僕は自分の気持ちを話すのが苦手になった

僕はうかつにも涙を流してしまった。 靴の先が丸くにじんだ。 西日の当たる通勤電車。 人の顔はみなどこか優しい。 自動扉にもたれながら、 僕は流れるプラットフォームを見つめる。 涙でぶざまに濡れても、誰も気にも留めない。 話しかける人さえ、ない。 気楽といえば気楽だが、 自分がまるで実体のないもののよ […]

安逸な日常を疑え 『隣同士の蛙』イソップ寓話集より

隣同士の蛙が二匹、一匹は深くて道からも遠い沼に、もう一匹は道にできた小さな水たまりに住んでいた。沼の蛙がもう一方に、自分の側へ引っ越して来て、もっと楽しく安全な暮らしをするように、と勧めたが、こちらは、住み慣れた場所から離れがたい、と言って従おうとしなかった。そしてとうとう、通り過ぎる車に轢き殺され […]

扇動政治家は祖国を内紛へと誘導する時、最も力を発揮する『水を打つ漁師』イソップ寓話集より

漁師が川で漁りしていた。まず、流れの両側に差し渡して網を張っておき、紐にくくりつけた石で水を打った。不意をつかれて逃げる魚が、網にかかるという寸法だ。 ところが、これを見ていた近所の住民が、川を濁し、澄みきった水を飲めなくするものだ、と文句を言うので、漁師は答えて、 「しかし、こうやって川をかきまぜ […]

男は知っていることを言い、女は人を喜ばせることを言う 。・゚・(´∀`*)゚・・

男性は知っていることを言うが、女性は人を喜ばせることを言う。 エミール〈上〉 (岩波文庫) 正直、話合いほど不毛なものはないと思っている。 話して分かるぐらいなら、いちいち説明せずとも分かっているはずだし、言葉を尽くして説明しても通じないから、いつまでも平行線なのであって、何でも話し合いで解決するぐ […]

歩く人が多くなれば、それが道になるのだ 魯迅『阿Q正伝』

希望とは、もともとあるものともいえぬし、ないものともいえない。 それは地上の道のようなものである。 もともと地上には道はない。 歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。 魯迅『阿Q正伝・狂人日記 他十二篇(吶喊) (岩波文庫)』 小学校の高学年の教科書に掲載されていた魯迅の短編。 タイトルも、物語も […]

疎外する家族と厄介者の息子 グレーゴル・ザムザは本当に虫になったのか フランツ・カフカの傑作『変身』

ある朝、グレーゴル・ザムザがなにか気がかりな夢から目をさますと、自分が寝床の中で一匹の巨大な虫に変わっているのを発見した。有名な書き出しから始まる奇怪な物語は家族に疎外されながら淡々と進んでいく。ニヒリズムを超えた写実的小説の傑作として語り継がれる本作は救いもなければ慈愛もない、人間のリアルを映し出す万華鏡のような作品でもある。

海が好きというよりは、海に込められた思い出がいとおしいのだ

海が好き──というよりは、海に込められた思い出がいとおしいのだ。 子どもの頃、はしゃぎ回ったあの海は、眩いほどの青色をしていた。 遠い故郷に帰って来たような懐かしい気持ちになる。 たった一言を書くために、何千枚もの原稿を綴ることがある。 思い起こしてみると、本当に書きたいことは、いつも『たった一言』 […]

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