生きていても仕方ないような夜でさえ ~ビル・エバンスを聞きながら

壊れそうでもいいじゃない。

その人が周りを傷つけるのでなければ、壊れかけの心でもいいと思う。

今にも折れそうな心を星の糸で繋ぎとめて、夜を友に生きて行く。

強いだけが全てじゃないし、善いことだけが世界を輝かせるわけでもない。

もろいもの、はかないものにも、命を生きる価値がある。

たとえ生きていても仕方ないような夜でさえ、心を感じる権利はあるというもの。

*

ビル・エバンスを聞いていると、世の中で「正しい」と言われていること──

幸せとか、希望とか、積極性とか、それがどうした? という気分にさえなってくる。

みながみな、昼の日中に大口あけて生きているわけでもなし、

夜には夜の美しさがあるというもの。

たとえその人生が悲しみと絶望の只中で破滅にひた走るものであっても、

彼が「人間」を生きていることに変わりはないし、

幸せな魂には見えないものが見えるということも、一つの能力であり、一つの恵みであると思わずにいない。

*

音楽だけ──

ただピアノだけが魂に呼応する。

誰の声も聞こえない、理解も及ばない世界に一人閉ざされたとしても、

真の美しさは、それを感じる人を決して見捨てない。

天上でそれを奏でる人もまた──。

*

天国に愛される人は、より多くの悲しみを与えられ、

人より早く力尽きるように、最初から壊れやすく作られているのかもしれないね。

*

こちらは私の大好きなアルバム『Moon Beams』に収録されているナンバーです。

壊れそうに美しい『Love Theme from Spartacus(スパルタカス 愛のテーマ)』 Jazz Pianoの傑作も名演です。ぜひ聞いてみて下さい。

you tube にたくさんUPされているので、リンクを辿って下さい。

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リリカルなタッチと優れたハーモニー・センスで耽美的なバラッドの世界を描き出すビル・エヴァンス。ピアノ・トリオでエヴァンス独特のスタイルを確立した彼の屈指の名作。

ピアノ・ベース・ドラムだけで構成されたシンプルな音楽ながら、内的な深みは詩的に美しい。
夜に静かに聞きたい珠玉の一枚。

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円熟の境地に達したビル・エバンスの深い感性がきらめく名盤。

人生の後半、死の間際に制作されたアルバム。これもまた全編、美しいバラッドばかりで、名盤の一つにあげられています。

QUOTE CARD

  • どんな高邁な理想も、言葉だけでは人は動かせない。 身をもって示して初めて、理想が理想としての意味をもつ。 その後、彼は死ぬまで父を忘れず、その生き様を指針にするわけだが、愛とは何かと問われたら、慈しむだけが全てではない。身をもって生き様を示す勇気も至上のものだろう。 誰でも犠牲は怖い。  自分だけ馬鹿正直をして、損したくない気持ちは皆同じだ。  だが、その結果、一番側で見ている子供はどうなるか、いわずもがなだろう。  言行の伴わない親を持つほど不幸なことはない。  たとえ現世で馬鹿正直と言われても、本物の勇気、本物の優しさ、本物の気高さを間近に見ることができた子供は幸いである。 どんな高邁な理想も、言葉だけでは人は動かせない。 身をもって示して初めて、理想が理想としての意味をもつ。...
  • 「創造的」というのは詩を書いたり、絵を描いたり、という意味ではありません。無の平原から意味のある何かを立ち上げることです。 より良く生きる為に、日々、考えること、実行すること、その全てが『創造』です。 どんなに小さくても、昨日よりは今日、今日よりは明日、少しずつでも歩みを進め、善きものを積み上げることを「創造的な生き方」と言います。 「創造的」というのは詩を書いたり、絵を描いたり、という意味ではありません。無の平原から意味のある何かを立ち上げることです。 より良く生きる為に、日々、考えること、実行すること、その全てが『創造』です。...
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この記事を書いた人

石田 朋子

文芸愛好家&サブカルチャー・ファン。主に70年代~90年代の作品に思い入れがあります。寺山修司の名言『詩を作るより、田を作れ(揶揄)』をモットーに、好きな作品を次代に伝えることを目標にしています。海外在住につき、現代日本とは相容れない所がありますがご容赦ください。
※ 現在、制作巣ごもり中につき、ほとんど更新していません。