『一体全体こころって何でしょう』 #『質問』の答え

https://flyingquestions.tumblr.com/post/162388092675/街中の質問の写真について紹介します2004年東京丸の内周辺エリアに大小さまざまな365の質問が氾

8歳の時、私のことをとても可愛がってくれていた近所のおばさんが亡くなりました。

家族に促され、初めて『葬式』というものに参列し、棺桶に入れられたおばさんの姿を見ました。

ほんの数ヶ月前まで陽気に笑い、スナック菓子を振る舞ってくれたおばさんが、すごく小さくなって、口と鼻に綿花を詰められ、もう動きもしなければ、喋りもしない、まるで人形か肉の塊みたいになってしまったのを見て、つくづく思ったものです。

人間って、心の生き物だな、と。

その後も、亡くなった患者さんの死後処置をしたり、自殺患者の後処理をしたり、心電図がフラットになって、人が本当に亡くなる瞬間も何度か目にしました。

死んだら、本当に物を言わなくなるし、もう誰もその人の「明日」のことなど心配しなくなる。

その人が昨日まで感じていたことも、考えていたことも、みな灰になって、永久にこの世から消えてしまうのです。

だとしたら、人がこの世に生きて、笑ったり、泣いたりすることに何の意味があるのかと思うでしょう。どうせ百年経ったら、誰も覚えてないのに、何をそんなに必死に生きる必要があるのかな、と。

心って、恐らく、どの人にとっても一番大事なものに違いないけど、それは自分の世界の中だけのものであって、傍からは見ることもできないし、手に触れることもできない、自分とは異なる誰かの心を完璧に理解することなど不可能でしょう?

思えば、心って、一つの電気信号で、その人の脳が機能している間だけ感じられる夢みたいなものです。

自分自身でさえ、一瞬たりと同じ形に留めておくことはできない。それくらい、あやふやで、無節操なものです。

にもかかわらず、人が自分の考えや感覚に拘り、「(我が)心を大事にしろ」と叫ぶのは、肉体が常に食物を欲するのと同じように、心もまた誰かの関心や愛情、悦びや達成感といったプラスの刺激なしには、すぐに痩せ衰え、いずれ肉体も死んでしまうことを、脳味噌が認識しているからかもしれません。

心というのは、肉体が生きている間だけ、そして、この世に自分だけが体感できる、小さな宇宙です。

たとえ、そこに生じるのがブラックホールであれ、恒星の崩壊であれ、隅から隅まで味わって、肉体が死ぬ時には「いろいろ体験して面白かった」と思えるのが、最高の生き方だと思います。

「もしも心がすべてなら、いとしいお金は何になる」という歌だってあるじゃないか。ジューク・ボックスに十円入れて、畠山みどりの歌にあわせて怒鳴りまくっていれば、心なんか、ひとりで路地を曲がってどっっかへ帰っていってしまうのさ。心なんか、川をわたって群集の中へ、地下鉄にのって遠い田舎へ、帰っていってしまうさ。心なんて、一種の排泄物みたいなもんで、「夜になるとたまって来るが、朝になると出ていっちまう」ものだ。そう考えると何となく可笑しくなって来た」
寺山修司『あゝ荒野』

オランダ 海岸

道の先に、微かに海が見えてくると、それだけで人は歩き続けることができます。

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 著者  寺山 修司, 鈴木 成一
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[question]

QUOTE CARD

  • どんな高邁な理想も、言葉だけでは人は動かせない。 身をもって示して初めて、理想が理想としての意味をもつ。 その後、彼は死ぬまで父を忘れず、その生き様を指針にするわけだが、愛とは何かと問われたら、慈しむだけが全てではない。身をもって生き様を示す勇気も至上のものだろう。 誰でも犠牲は怖い。  自分だけ馬鹿正直をして、損したくない気持ちは皆同じだ。  だが、その結果、一番側で見ている子供はどうなるか、いわずもがなだろう。  言行の伴わない親を持つほど不幸なことはない。  たとえ現世で馬鹿正直と言われても、本物の勇気、本物の優しさ、本物の気高さを間近に見ることができた子供は幸いである。 どんな高邁な理想も、言葉だけでは人は動かせない。 身をもって示して初めて、理想が理想としての意味をもつ。...
  • 「創造的」というのは詩を書いたり、絵を描いたり、という意味ではありません。無の平原から意味のある何かを立ち上げることです。 より良く生きる為に、日々、考えること、実行すること、その全てが『創造』です。 どんなに小さくても、昨日よりは今日、今日よりは明日、少しずつでも歩みを進め、善きものを積み上げることを「創造的な生き方」と言います。 「創造的」というのは詩を書いたり、絵を描いたり、という意味ではありません。無の平原から意味のある何かを立ち上げることです。 より良く生きる為に、日々、考えること、実行すること、その全てが『創造』です。...
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この記事を書いた人

石田 朋子

文芸愛好家&サブカルチャー・ファン。主に70年代~90年代の作品に思い入れがあります。寺山修司の名言『詩を作るより、田を作れ(揶揄)』をモットーに、好きな作品を次代に伝えることを目標にしています。海外在住につき、現代日本とは相容れない所がありますがご容赦ください。
※ 現在、制作巣ごもり中につき、ほとんど更新していません。