安逸な日常を疑え 『隣同士の蛙』イソップ寓話集より

隣同士の蛙が二匹、一匹は深くて道からも遠い沼に、もう一匹は道にできた小さな水たまりに住んでいた。沼の蛙がもう一方に、自分の側へ引っ越して来て、もっと楽しく安全な暮らしをするように、と勧めたが、こちらは、住み慣れた場所から離れがたい、と言って従おうとしなかった。そしてとうとう、通り過ぎる車に轢き殺されてしまった。

このように人間の場合でも、下らぬ仕事に憂身をやつす者は、もっと立派な仕事に転じる前に身を滅ぼすのだ。

イソップ寓話集(岩波文庫)

道から遠い沼に住む蛙と道の水たまりに住む蛙の例え話はいろんな風に解釈できる。

危機感のある人と、ない人。

見識のある人と、ない人。

状況に応じて行動を変えられる人と、変えられない人。

いずれにせよ、日常から抜け出すのは難しい。

なまじ居心地がいいと、動くきっかけも、考える気力もなくしてしまう。

スローに生きるのが悪いとは言わないが、たえず自分の置かれた状況について疑うことは必要だろう。

本当に安全か。

いつまで続くのか。

他に比べてどうか。

多くの忠告は、都合が悪くて、面倒くさい。

道の水たまりに住む蛙も、深い森の奥に引っ込んで、水を飲む為に、いちいち出てくるのが面倒だったのだろう。

自分にとって心地よい選択が、必ずしも正しいとは限らないのが、この世の難しいところである。

よく言われることだが、迷ったら、逆に行くのも一手だ。

会いたくなくても、会ってみる。

行きたくなくても、行ってみる。

やめたくなくても、やめてみる。

その逆も然り。安逸

右回りで上手くいかないなら、左に回ってみる。

正答は、たいてい、自分が苦手な方にあったりするので。

イソップ寓話集 (岩波文庫) (文庫)
by イソップ

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この記事を書いた人

石田 朋子

文芸愛好家&サブカルチャー・ファン。主に70年代~90年代の作品に思い入れがあります。寺山修司の名言『詩を作るより、田を作れ(揶揄)』をモットーに、好きな作品を次代に伝えることを目標にしています。海外在住につき、現代日本とは相容れない所がありますがご容赦ください。趣味はドライブと登山。