生きてて、すみません

昔は青年らしい鬱屈の気持ちから「生まれてすみません」と自らを卑しんだものだが、今は長く生きすぎた厄介者の老人が「生きてて、すみません」と頭を下げる時代らしい。

竪穴に暮らしていた頃から、狩りのできぬ者、子の産めぬ者は仲間に蔑まれ、群れの隅に追いやられる……というのはあったかもしれないが、今はそれに輪をかけて、自己の尊厳や生命の保証を傷つけられるから、当時よりたちが悪いのではないかと思ったりもする。若い時分に、なまじ成功体験があれば、尚更だろう。何も悪い事などしてないのに、『生きてて、すみません』と頭を下げなければならない時代は生産する者だけが重んじられ、生産できない者は場を奪われる。国家存続の為にはそれしかないとしても、それが高度に発達した社会の有り様なのだろうか。

そうして、弱い者、非生産的な者から、静かに消えてゆけばいい。

人間を排除する社会の結末は、『そして、誰もいなくなった』。

実際、そうして、滅ぶ。

※『生きてて、すみません』のエピソードは、あるWEB漫画の一節です。でも、どこで目にしたのか、まったく記憶していません。ごめんなさい<(_ _)>

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この記事を書いた人

石田 朋子

文芸愛好家&サブカルチャー・ファン。主に70年代~90年代の作品に思い入れがあります。寺山修司の名言『詩を作るより、田を作れ(揶揄)』をモットーに、好きな作品を次代に伝えることを目標にしています。海外在住につき、現代日本とは相容れない所がありますがご容赦ください。趣味はドライブと登山。